粗大ゴミ 杉並区のこんな進化

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地球上にある物質の重さは一定で変わらない。
ここに述べた事実は自然科学の法則にもとづいています。
ですから、だれも否定できない客観的な事実として認めざるをえません。
地球環境問題ということが、この二、三年よく言われるようになりました。
フロッによるオゾン層の破壊仁か、二酸化炭素による温暖化とか、熱帯雨林の消失とかいうことがその内容です。
一九八八年のトロントサミット(主要先進国首脳会議)で取り上げられるなど、国際政治のテーマにもなっています。
たしかに大きな問題であることはまちがいないのですが、現実の問題としては私たちの暮らしに直接被害があるわけでなく、緊迫感がないというのも、いつわらざる気持ちではないでしょうか。
この点がこれまでの環境問題とは、大きくちがっています。
たとえば、工場や自動車の排ガスによる大気汚染や、河川、海などの水質汚濁、騒音、振動、悪臭といった問題は、四日市市(三重県)の工場地帯とか、東京の都心部とか、高速自動車道中新幹線の沿線といった特定の地域に住んでいる人にとって、自分の健康を保持し、快適な生活環境を維持していくうえで重大な問題ですが、それ以外の地域閑静な住宅地とか農村地域に住んでいる人にとっては、直接問題となることはありません。
つまり、これまでの環境問題は、その地域に特有の環境問題(地域環境問題)であったわけです。
こうした地域環境問題は、公害が大きな社会問題となった一九六〇年代(昭和三五年~)とくらべると、ずいぶん改善されました。
一九七〇(昭和四五)年のいわゆる公害国会で「公害防止基本法」にもとづく一四の法律が制定され、生産企業が工場などで排ガス、排水の処理をおこない、排出基準を守るようになったからです。
もちろん完全になくなったわけではありません。
たとえば都市ごみの焼却工場からダイオキシンが発生している問題などが生しており、今後ともなくなることはないと思いますが、少なくとも四日市ぜんそくとか、東京で光化学スモッグにより中学生が集団で被害を受けるというようなことは、ほとんどなくなっています。
しかし、開発途上国では、今日でも地域環境問題は深刻です。
五年くらい前、私は中国へ廃棄物問題の調査に行きました。
そのとき、大きな製鉄工場のある鞍山市では、空はスモッグで朝からどんよりとくもり、眼と鼻に酸性ガスの刺激を感じましたし、家中工場や道路はばいじんで汚れていて、三〇年前の日本の川崎市や四日市市の印象と重なりました。
こうした地域環境問題は、経済発展にともなって発生しますが、経済力が蓄積されて余裕が生じるにつれてしだいに問題として顕在化し、やがて解決していくというプロセスをたどるようです。
「人間は、解決できるものだけを問題にする」からです。
代表的なものは、大気中の二酸化炭素が増加し、地球の温度が上昇するという問題です。
一万年かかってようやく一度上昇した地球の温度が、現在では一〇年で〇・三度Cのスピードで上昇しています。
これはたいへんな変化です。
海水が膨張し、南極の氷が融け、水位が上昇するということはよくいわれています。
もっと大きな問題は気候の激変です。
熱波や寒波にみまわれたり、集中豪雨や干からびがおこり、農作物や住環境に被害が出て、地球がどんどん住みにくくなっていくでしょう。
ではなぜ二酸化炭素濃度が上がっているのでしょうか。
二酸化炭素濃度をグラフにプロットしてみると、長い間ほとんど一定に維持されていることがわかります。
それが二〇〇年ぐらい前、人間が石炭を使いだし、さらに石油を使いだしたころから、放物線状に上昇してきています。
ところで、人間が発生させている二酸化炭素の由来をみると、二つに大別できます。
一つは、石油や石炭をエネルギー(電気、動力、熱)に変えて、製品をつくったり、移動したり、冷暖房として利用するときにかならず排出されるもので、これは「エネルギーのごみ」です。
もう一つは、紙、衣類、食物、プラスチックといった、高分子化合物を利用したのちにごみとして捨て、これを。
ごみ焼却炉で焼却することによって発生するもので、いわば「ごみのごみ」です。
この二つのごみは、もとをたどれば地球にある資源です。
その量は、第一の「エネルギーのごみ」が圧倒的に多いのですが、第二の「ごみのごみ」としての二酸化炭素も、日本では五%以上を占めると推定されます。
エネルギーの利用もごみ処理も、私たちがよりよい生活をするうえで必要なものですから、人間の欲望が地球の温暖化を加速して、人間に危害を加えつつあるといえます。
地球環境の問題で、二酸化炭素による温暖化とならんで大きな問題となったのが、フロンによるオゾン層の破壊です。
フロンは石油と岩塩から合成された有機塩素化合物です。
これが紫外線によって分解して、塩素イオンを遊離し、その遊離イオンがオゾンと反応してしまうわけです。
宇宙空間は放射線や紫外線にみちた有害な環境なのですが、オゾン層など地球をおおっている大気が地上を保護してくれているのです。
オゾン層が破壊されると、紫外線が直接地上に達することになります。
人間への影響として明らかになっているのは、皮膚ガンや白内障を引き起こすだろうということです。
それ以上に恐ろしいのは、染色体の異常を引き起こすことです。
紫外線は、遺伝情報のにない手である細胞の核酸を破壊してしまうからです。
そうすると、たとえばイネやコムギなどの種をまいても、収穫できないということもおこるでしょうし、動物には奇形がおこるでしょう。
人間にもまったく同じことがおこります。
フロンは、身近なところでは、たとえば冷蔵庫、ク土フーなどに入っていますし、ヘアースプレー、シェービングクリームなどのスプレーに入っています。
また、発泡スチロールや半導体をつくるときにも使います。
ところで冷蔵庫を例にとれば、のが発売されます。
デザインもいいし、従来のものより省エネルギーになっているので、これを買います。
そうすると、スペースをとるからということで、古い冷蔵庫が粗大ごみになります。
粗大ごみはどう処分されるかというと、集めて埋めるというのが基本です。
しかし、そのまま埋めると埋立地がすぐいっぱいになってしまうので、少しでも埋立地を長持ちさせるために、高速で回転する破砕機で冷蔵庫を粉にして、鉄だけを磁石でとり、量を減らして埋めます。
そのとき、冷蔵庫のチューブの中に入っていたフロンは、気体となって大気中に出ていってしまいます。
そういうかたちで、私たちは毎日フロンのごみを大気中に捨てているわけです。
フロンは一〇年ぐらいかかって、成層圏に達するということですから、紫外線が増加することの影響はまだこれから出てくるのです。
もちろん、フロンには二〇〇〇年に完全廃止をするという、国際的な取り決めができており、使用をやめ生産をやめる方向に向っています。
それでもこれまでにつくられ使われているもの、あるいはこれから一〇年間につくられるものにはまだ含まれているわけですから、それはやがてごみとして大気中に放出されることになります。
しかもさらに一〇年たたないと、どんな害が出るか完全にわからない、というようなことになっているわけです。
このように、私たちの日常生活から毎日出されている生ごみ、紙、プラスチックといった可燃ごみや、冷蔵庫のような粗大ごみが、じつは私たちの’住んでいる地域とか、日本という国に影響を与えるだけではなくて、地球全体に、人類全体に共通の影響を与えるようになってきているのです。

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